認知症の原因でもっとも多いのは、アルツハイマー症という病気です。
なんと認知症の67%がアルツハイマー症です。認知症になったからって、急に生活が変わってしまうわけではありません。
いろいろな誤解やわかりやすくするために、内容をしぼったりして、認知症については誤解が多くなってしまいました。
アルツハイマー症と認知症は、症状がよく似ているので、医療や研究の分野では区別がされていますが、難しく感じる方が多いので、日常の用語としては区別されていないように思います。
1.認知症の種類で治療は異なる
お医者さんへ行って使う、“認知症”という言葉は、いろいろな病状や症状の総称をさしていることが多いので、同じ認知症の人でも治療の方針が違ってきます。
また脳のどこの部分が病気なのかによって、症状も変わってきます。
2.突然攻撃的になるピック病
突然暴れだす、という症状の場合、前頭側頭型認知症=ピック病の可能性があり、認知症の12%くらいの人がこのピック病という病気になっています。
3.認知症には得意と不得意がある
認知症になると、”もの忘れ”でもパターンがあったり、得意と不得意がはっきりとしてきます。
昔のことはよく覚えていたりして、おどろくようなこともたくさんあるはずです。
4.幻覚が見えるレビー小体型
また、レビー小体型認知症の方は、幻覚が見えたりするのですが、それは不安をかかえているからです。不安や心配事の信号を脳が処理して、目に見える形にしてみせているのです。
目には見えているけど、触れないとか、暗いところに電気を当ててみたりとかしながら、幻覚を目からの信号だけでなく、他の感覚をうまく使って、本人と一緒に確認してみることもいいのではないでしょうか。
5.認知症の方に接するヒント
怒ったり、おどしたり恐怖を与えると副腎皮質ホルモンが神経を新しく作ることをやめさせるので、記憶が悪くなるといわれています。運動したりして活動的な生活ができると、脳の中で記憶を担当している”海馬(かいば)”の中に新しい細胞がどんどん生まれてくるようになり、記憶力がよくなることがわかっています(1)。
心配なことを何度も確認するのは健康な人でもする
また、何度も同じことを聞くのは、忘れただけではなくて誤解していたり、納得できていないからです。
相手に寄り添えるかどうか、余裕が必要
“心配だね”とか、相手を承認して、相手を肯定することが第一ステップです。そこで、本人の得意なこと、例えば、料理でもいいし、得意なことを一緒にしてみるのも、良いリハビリになるのではないでしょうか。
本当は上手にできるのに・・・失敗したらキライになるのは子どものときも同じ
得意だったはずのことで、失敗したりするとだれだって、次からはやりたくなくなるので、また得意なことになるように支援していくほうがいいと思います。
できることをしながら、認めてあげることが大切
脳トレでは、ゲームは得意になりますが、だれかに認めてもらうことが難しいので、最初は野菜の皮むきなどの家事などで、昔からやり方がわかっているものを探してみるのもいいかもしれません。
“ありがとう”は万病に効く薬
そのときに、大切なことは、感謝することです。
だれでも、”ありがとう”と言われることで、自分が認められたと感じますし、だれかのためになる行動をしたいと思っています。
6.まとめ・ひとことコラム
少し涼しくなってきたら、どこかに一緒にでかけてみてもいいかもしれませんね。涼しくなるのが、待ち遠しくなったりして。少しくらいなら失敗しても笑えるくらいに気持ちに余裕がでてきますように。
- 参考文献
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(1)Cotman et al., Trends Neurosci., 2002.