2012年現在で462万人の方が認知症になっています。
この他に認知症の予備軍が400人と推定されています(1)。
認知症になると、物忘れやはいかいだけでなく、日常生活そのものができなくなってしまうこともあります。
今、日本人の10人に1人が認知症で日常生活が困難な状態にあるといわれています。
1.認知症の入口は30年前
日本は、これからも高齢化で、認知症の患者数は、ますます増えていくでしょう。
認知症の入口
実は、認知症になった人は、30年前以上前に、認知症の入口に立っています。そして、年齢を重ねるのと同じように、一歩、また一歩と認知症に近づいています。
仮に、70歳で認知症になった場合、30歳~40歳までの間に、認知症の入口に立っていたことになります。
30~40歳は、人生の働き盛りではありませんか!
2.認知症の原因
70~76歳の方では、25人に1人が認知症になっています(2)。わたしが25人に1人にならないために私たちにできる予防策はあるのでしょうか。
原因が必ずあるはず、認知症
まずは、認知症の原因を知りましょう。
- 認知症になる原因(2)
- 神経に蓄積するゴミ物質(βタンパク質、タウなど)
- 生活習慣病(高血圧、糖尿病など)
- うつ
- ストレス
3.認知症の初期
若いときには、ゴミ物質をしっかり掃除してくれる掃除役がいます。掃除役がいるので、ゴミ物質は、溜まらなかったのですが、歳をとると掃除役がサボリはじめてしまいます。
掃除役がサボると脳の中ではどうなるの?
さらに、掃除役が足りなくなると、残った掃除役の手に負えなくなって、ゴミ物質がいっぱいになってしまいます。 このときには、もの忘れなどの軽い認知症の症状がでてきます。
4.生活習慣病やうつと認知症の関係
高血圧や糖尿病は、血管の状態を悪くします。血管の状態が悪くなれば、脳卒中などがおこります。脳卒中などで、脳にダメージを受ければ、脳の機能が弱まって、認知症の引き金になります。
うつはストレスが原因、やがてアルツハイマーにも・・・
うつは、ストレスが大きな原因でおこります。働くヒトのおよそ半数が、人間関係に悩んでおり、パワハラやセクハラ、人間関係のもつれなどで、うつになる方がいます。
最近の研究では、若年期のうつが認知症になるリスクを高めているといわれています(3;4)。
少しでも立ち止まると、生活が破たんしてしまうような忙しい毎日のわたしたちは、どこかで、脳の健康を考えておかないと、不本意な人生を選択する可能性もあります。
5.認知症を予測できるのか
アルツハイマーになった方は、認知症になる可能性が高いです。
認知症の研究、どこまで・・・
研究者は、脂肪の燃焼させるApoE(アポE)遺伝子と関係があることをつきとめました。糖尿病の遺伝子検査では、このApoE(アポE)遺伝子を調べます。ApoE(アポE)遺伝子の遺伝子型がいくつかあって、特定のApoE(アポE)遺伝子型を持つ人がアルツハイマーになる確率が高いといわれています。
遺伝子型が必ずしも正しいとは限りませんが、予防の一つとして有効だと考えられています。
6.まとめ・ひとことコラム
遺伝子は、わたしたちの体質の設計図になっています。100%設計図どおりにはいかなくても、もともとの体質の情報がわかれば、オーダーメイドの医療や、予防が可能になるはずです。
科学技術は私たちの生活を幸せにするもののはず・・・
科学技術は、わたしたちを幸せにするものでなくてはなりません。結果が思わしくなかった場合でも、悲観せずに予防のためにできることをさがすヒントを提供するきっかけとなることを望みます。
- 参考文献
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(1)厚生労働省資料より
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(2)東京都健康長寿医療センター資料より
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(3)Geerlings, M.I. et al., 2008.
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(4)Green, R.C. et al., 2003.