ベリー

健康になる赤ワイン


フレンチパラドックスという言葉があります。フランスの逆説という意味です。

フランス人は、肉や脂肪分が多い食事が大好きなのに、心筋梗塞の死亡率と脳卒中の死亡率が他の国に比べて少ないことがわかっています。

1.フレンチパラドックスとは

フランスの食卓に欠かせないのは、ワインです。ワインをたくさん飲むから、心筋梗塞と脳卒中の死亡率が低いのではないか、と考えられているのです。

フランスの不思議、フレンチパラドックス

お酒・アルコールをたくさん飲むのは、体によくないといわれています。フランスのように健康でない生活スタイルが、逆に健康であることが、まさに”フレンチパラドックス(フランスの逆説)”です。

2.ポリフェノールの多い赤ワイン

フランスのボルドー地域でつくられる人気ナンバーワンのカベルネソーヴィニヨンをおすすめする人は多いように思います。

ワインのポリフェノールは血行を促進

赤ワインの認知症予防効果について、お話ししましたが。赤ワインにはいっているポリフェノールが認知症の発症を予防するだけでなく、心筋梗塞の予防、脳卒中の予防につながっているのです。

ワインなんてコジャレタものは・・・という酒飲みは!?

では、赤ワイン以外のアルコールだとどうなんでしょうか。アルコールは嗜好品で、他の種類を飲みたい人は気になっているはずですよね。

3.赤ワイン以外のお酒、飲み物での効果

カナダで6,000人あまりを調査したところ、赤ワインは認知症発症率を1/2にしているのに対し、ビールやウィスキーには認知症の発症率を半分にするまでの効果はありませんでした。また、アルコールではなく、紅茶でも認知症発症率を半分にすることはできませんでした()。

4.赤ワインのポリフェノール・ミリセチン

赤ワインは、ミリセチンというポリフェノールあって、そのミリセチンが認知症予防になることがわかってきました。そこで、研究者は、このミリセチンをつかって脳の中にたまり認知症をおこすゴミ物質、βアミロイドを観察しました()。脳の中のゴミ物質は、いくつかくっつくと認知症を引き起こすことがわかっています。

ミリセチンが脳のゴミを細かくすると、ゴミが少なくなっていく

赤ワインのミリセチンというポリフェノールがゴミ物質を短くして、くっつきにくくし、6時間後には脳のゴミ物質がみえなくなったという実験結果があります()。赤ワインを飲み続けると、脳のゴミ物質が減るような体質に変化することもわかってきました()。

ミリセチンはポリフェノールの一つ。紫色をしたフルーツやハーブに多い

実験では、アルコールではなく、赤ワインの中のポリフェノールが脳のゴミ物質を減らす役割をしていることがはっきりしています()。ですから、飲めないかたは、ミリセチンがたくさん入っているベリーやブドウ、ハーブなどを食べても同じです。
ミリセチンは、黄色のようなベージュ色をしています。

ブドウの種はポリフェノールの宝庫

ブドウの種の部分には、ポリフェノールがたくさん含まれています。種の部分は、苦い感じがあると思いますが、その苦味がポリフェノールです。ブドウの種から取り出したポリフェノールは、脳の中のゴミ物質のくっつきがなくなったことがわかっています()。

食事は楽しく、が基本

ミリセチンのみを食べればいいということではなくて、食べ物を楽しみながら食べるようにしたほうがいいと思います。赤ワインも、友人や家族と一緒に楽しめば、会話もはずみ、もっと脳が活性化します。

5.お酒が飲めない人はジュースか、干しブドウ

飲めない人のに、お酒を飲ませる無理強いをしてはなりません。お酒を飲むのはつらいことで、お酒を分解する酵素がない人に飲ませると殺人罪になるかもしれません。

飲めないあなたのポリフェノール

飲めない人は、赤いブドウジュースや、干しブドウ、ブドウの種、ベリーなどのフルーツで楽しむのはいかがでしょうか。

6.まとめ・ひとことコラム

念のために申し上げますが、赤ワインの量は、男性ならワイングラス2杯まで、女性ならワイングラス1杯までがよいようです。飲みすぎは、胃が荒れたり、肝臓を悪くして、寿命が短くなります。

お酒のチカラを借りない事

また、最近では飲みすぎのトラブルも増えています。交通機関を利用して帰宅する際には、自分で責任がとれるようにしておきましょう。他の人に暴力をふるったり、自分が覚えていないほど泥酔して失くし物をしてはいけませんからね。

    参考文献

  • (1)Lindsay et al., Am.J.Epidemiol., 2002.

  • (2)ono et al., j.Neurosci.Res., 2003.

  • (3)Wang et al., FASEB, 2006.

  • (4)Wang et al., J.Neurosci.,2006.